今回は、基本情報技術者試験について申込から合格証書を受け取るまでの流れに沿って紹介します。
筆者は令和3年5月に基本情報技術者試験をCBT方式で受験し、先日、合格証書を受け取りました。本記事では、主に勉強方法や勉強時間について書いていきます。
基本情報技術者試験とは
試験概要
まず、基本情報技術者試験 (略称:FE) の概要を簡単に説明します。
基本情報技術者試験は、IPA (独立行政法人 情報処理推進機構) が実施しているITエンジニアの登竜門的な位置づけの国家試験です。
IPAが設定している基本情報技術者試験の対象者像は以下の通りです。
高度IT人材となるために必要な基本的知識・技能をもち、実践的な活用能力を身に付けた者
引用:IPA 基本情報技術者試験
しっかりとした基礎知識・技能の習得のため、新人ITエンジニアやIT業界を目指している方に受験が推奨されています。
試験内容
午前試験 | 午後試験 | |
試験時間 | 150分 | 150分 |
出題数 | 80問 多肢選択式(四肢択一) | 11問 多肢選択式 |
解答数 | 80問 | 5問*1 |
出題内容 | ストラテジ系:20問 マネジメント系:10問 テクノロジ系:50問 | 問1 情報セキュリティ 問2~5 ソフトウェア・ハードウェア データベース ネットワーク ソフトウェア設計 問6 データ構造及びアルゴリズム 問7~11 ソフトウェア開発 |
配点 | 各1.25点 | 問1 20点 問2~5 各15点 問6 25点 問7~11 25点 |
合格基準 | 60点 / 100点満点 | 60点 / 100点満点 |
試験方式 | CBT方式 | CBT方式 |
試験手数料 | 7500円 (税込) | *2 |
*1 問1と問6が必答、問2~5から2問、問7~11から1問選択。
*2 試験手数料は午前試験の予約をする時に支払います。午前試験の予約後に午後試験を予約できます。
「ソフトウェア開発」分野では、C、Java、Python、アセンブラ言語、表計算ソフトの問題が1問ずつ出題されるのでその中から1問選択して解答します。
プログラミングをしたことがない方は表計算ソフトが一番取っ付きやすいと思います。筆者は表計算ソフトを選択しました。
表計算ソフトと言っても試験独自の仕様でMicrosoft Officeやlibreofficeとは動作が異なります。また、問6でも出てくる擬似言語と絡めて出題されます。
一応、試験中に表計算ソフトと擬似言語との仕様を確認することはできますが、試験中に一々わからない部分を確認していては時間が足りないので、予め擬似言語と表計算ソフトの仕様を頭に入れておくことが必須です。
CBT方式で実施
CBT (Computer Based Testing) 方式とは、試験会場でコンピューターを使って受験する試験方式です。マウス、キーボードを使って解答を入力します。基本情報技術者試験の場合は、ディスプレイに問題文と選択肢が表示され、マウスを使って選択肢の中から正解を選びます。
CBT方式での受験の場合、試験後にスコアレポートで評価点を確認できます。合格発表を待たずとも、直ぐに大体合否がわかるのでありがたいですね。
申込方法
基本情報技術者試験の試験実施概要はこちらのIPAのWebページから確認できます。
IPA 情報セキュリティマネジメント試験、基本情報技術者試験(CBT方式)
試験実施概要を確認したら、試験予約は以下のプロメトリック株式会社のWebページから行ってください。
※令和4年度上期基本情報技術者試験午前試験の申込期間は2022年3月1日~2022年5月19日です。
このページ左側のメニューにある「オンライン予約」から試験予約を行います。予約方法および注意事項は、このページに詳細に記載されているのでよく確認しながら予約を進めてください。
必要な勉強時間
必要な勉強時間は受験者の知識のレベルによって大きく変わってきます。プログラミング経験者や情報系の分野を専門に学習したことがある場合は、数日勉強するだけで合格できる方もいると思います。そうでない場合は、1~2ヵ月程度 (100時間以上) の学習が必要です。
筆者の場合
筆者の知識レベルは、ITパスポート試験に合格した程度で情報系の分野を専門に学習したことはありません。筆者の場合は、1ヵ月+1週間の勉強期間が必要でした。日毎の勉強時間は、平日2時間、土日3~4時間くらいです。出題分野はITパスポートとあまり変わらないですが、より詳しい内容を問われるので理解に時間がかかります。
CBT方式で受験する場合、午前試験と午後試験を別日に受験することができるので、1ヵ月学習して午前試験を受験した後、1週間かけて午後試験の対策をしました。
筆者の場合は、午前試験受験後に1週間で午後試験の対策をしましたが、午後試験の対策は午前試験の対策と並行して行うことをおすすめします。「アルゴリズム」および「ソフトウェア開発」の内容はプログラミングをしたことがないとなかなか理解するのが難しいので、1ヵ月くらいかけて少しずつ訓練した方が良いです。
勉強方法
勉強方法は、参考書で知識をインプットして過去問を解くという方法が良いと思います。
インプット
知識のインプットは参考書を利用するのが良いと思います。筆者は、試験内容を1通りカバーしている参考書と、午後試験の「アルゴリズム」および「ソフトウェア開発」対策用の参考書の計2冊の参考書を用意しました。
おすすめの参考書については次項で紹介します。
疲れていて文字を読む気になれないというときや、参考書だけでは理解しにく部分があるときはyoutubeの動画を利用して学習しました。こちらのyoutubeチャンネルの「基本情報技術者ワンポイント」では理解しにくい部分をわかりやすく解説しているので非常におすすめです。
アウトプット
過去問演習には、基本情報技術者試験ドットコム というWebサイトを利用しました。
こちらのサイトの 過去問道場 では、公開されている基本情報技術者試験の過去問を解くことができ、その場で正解と解説を確認することができます。午前試験、午後試験両方に対応しています。
解説が非常に詳しく書かれているため、どうしてその答えになるのかがしっかり理解できます。また、参考書や動画でのインプット時点で曖昧だった知識の補強にも役立ちます。
このサイトで、過去問を解いて正答率が安定して8割を超えられるように勉強すると良いと思います。
このサイトが非常に優秀なので基本情報技術者試験を受けるにあたり、問題集を購入する必要は全くありません。
基本情報技術者試験実施業務は、プロメトリック株式会社に委託されています。ITパスポート試験とは受験当日の流れや試験時の画面操作方法が異なるので、予め以下から確認しておくことをお勧めします。
おすすめの参考書
筆者が実際に利用したおすすめの参考書を紹介します。
イメージ&クレバー方式でよくわかる 栢木先生の基本情報技術者教室
図や例え話を多用してあり読みやすいように工夫された参考書です。擬似言語の考え方もしっかり説明されており参考になりました。
試験に出る内容をしっかり詳細に解説するというよりは、途中で挫折しないよう読者への配慮を優先した内容です。用語の説明がふわっとしていますが、基本情報技術者試験の合格を目的とする参考書だと割り切れば問題ない範囲です。
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うかる! 基本情報技術者 [午後・表計算編]
午後試験問題の表計算の勉強方法がさっぱりわからなかったので購入しました。試験に出る表計算ソフトと擬似言語について解説してあります。
内容は問題中に出てくる表計算ソフトの仕様説明です。過去問や解説を読んで表計算ソフトの仕様を把握するのは時間がかかるので、わかりやすくまとめてあるこの本を利用することをおすすめします。
短期合格を目指すなら購入すべき1冊だと思います。
うかる! 基本情報技術者 [午後・表計算編] Amazon詳細ページ
受験当日
必要な持参物
受験当日に必要な持参物は以下の2点です。
- 確認書
- 本人確認書類
確認書は、試験予約後に確認できるようになるので忘れないように印刷して持っていきましょう。午前試験、午後試験で別々の確認書が作成されます。1日で午前午後とも受験する場合は、それぞれの試験の確認書が必要です。
本人確認書類は、有効期限内の顔写真付きのものが必要です。原本のみ有効です。プロメトリック株式会社のホームページや確認書に、利用できる書類について詳細に説明されているので当日までによく確認しておきましょう。筆者は、運転免許証を持参しました。
受付時の注意
集合時刻は試験開始の15分前に設定されています。余裕を持って会場に入場しましょう。
試験当日の注意事項、受付から受験の流れ、CBTの操作方法については以下のページからご確認ください。
CBT試験になり選択問題の選択方法がわかりにくくなっています。午後試験では、解答した選択問題を選択するのを忘れないよう注意してください。選択していない場合、採点されずその問題が0点になってしまいます。
遅刻した場合
集合時刻に遅刻した場合は受験できません。
当日、試験会場に空席があれば受験できる場合もあるとも記載されているので、遅刻確定でもダメ元で受付に行ってみるのが良いと思います。
試験終了後、スコアレポートの確認方法
試験終了後、しばらくすると「スコアレポートのご案内」というタイトルのメールが届きます。 このメールが届くまでの時間は人によって異なるようですが、 筆者の場合は試験終了後10分程度で届きました。
このメールにスコアレポート参照用WebサイトのURLと、スコアレポート参照に必要な「スコアレポートコード」が記載されています。
記載されているURLからスコアレポート参照用Webサイトにいき、必要事項を入力すると以下のような「スコアレポート」を確認できます。
各分野の正答率が記載されており、合否が大体わかるので助かります。
基本情報技術者試験の場合は、「スコアレポート」だけでは得点が確認できないため「成績通知書」がハガキで届きます。
発送は受験日の翌々月上旬となっていて、筆者の場合は合格証書発送日の3日前に届きました。
成績通知書には、午後試験の得点と選択した問題番号が記載されています。
合格発表、合格証書の発送
合格発表は試験日の翌月、合格証書の発送は翌々月です。日程の詳細はこちらのIPAのWebページからご確認ください。
合格者には、こんな感じの合格証書が簡易書留で届きます。
まとめ
今回は、基本情報技術者試験について申込から合格証書を受け取るまでの流れに沿って紹介しました。
参考書をしっかり仕上げて、過去問演習を重ねるのが合格の近道です。
CBT試験になって合格率は上がっていますが、ITパスポート試験や情報セキュリティマネジメント試験と比べると格段に難しい試験なので油断しないでしっかり勉強して臨むことをおすすめします。
本記事がこれから基本情報技術者試験を受験する方のお役に立てば幸いです。
午前免除制度対応のオンライン講座
確実に合格したい場合は午前免除制度を利用しての受験をおすすめします。
午前免除制度とはIPAが認定した講座を受講し、修了試験に合格することで試験当日の午前試験が免除されるという制度です。
午前試験対策にかかる勉強時間は意外に長いため、試験直前にその勉強時間を丸ごと午後試験対策に充てられればかなり有利になります。
こちらのオンライン講座は午前免除制度に対応しています。
基本情報技術者試験対策eラーニング【BizLearn】注意点は、午前免除修了試験の実施予定地は東京と大阪なので、受験会場に行けるかどうか調べておく必要がある点ですね。
この講座では午前免除修了試験を最大2回受験できるため、1回目で合格できなくてももう1度チャンスがあります。
また、午後試験の対策もしっかりついており、この講座のみで基本情報技術者試験の勉強を完結させることが可能です。
参考書を利用しての独学では途中でモチベーションが下がってしまうことも考えられます。
オンライン講座を受講することで合格までのスケジューリングをしやすくなるため、モチベーションを維持しやすいです。
試験の受験日までに期間的余裕がある場合はオンライン講座の受講を検討してみてください。
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