甲種危険物取扱者試験に1ヶ月で合格した話。勉強方法や県外受験の流れについて。

甲種危険物取扱者試験に合格した話。-title化学系資格

筆者は2021年10月の甲種危険物取扱者試験に合格しました。

本記事では申し込み等の手続きの流れや勉強方法などを紹介していきます。

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甲種危険物取扱者試験とは

危険物取扱者とは、消防法で定められた危険物を一定数量以上取り扱ったり、危険物の取り扱いに立ち会うために必要な国家資格です。

この危険物取扱者には、「甲種」「乙種」「丙種」の3種類があり、それぞれ主に取り扱える危険物の種類や無資格者による取扱への立ち合いの可不可に違いがあります。

甲種」が最上位で全ての危険物の取り扱い、及び、取り扱いの立ち合いができます。

乙種」を全種取得することでも全ての危険物の取り扱い、及び、取り扱いの立ち合いができますが、甲種」と「乙種」では危険物保安監督者の資格要件に違いがあります。

危険物保安監督者は、危険物の取扱作業に際して作業者に指示をしたり、災害発生時に作業者を指揮して応急措置を講じると共に消防機関等に連絡したりする役職です。

甲種」の場合は第1~6類のいずれかの危険物に関して実務経験を6ヶ月積めば全ての類の危険物保安監督者になることができますが、「乙種」を全種取得している場合は実務経験を積んだ類のみの危険物保安監督者にしかなれません。

甲種危険物取扱者試験の受験資格

甲種危険物取扱者試験には受験資格があります。

詳細は消防試験研究センターのホームページからご確認ください。

一般財団法人 消防試験研究センター 受験資格

筆者は「大学等において化学に関する学科等を修めて卒業した者」として受験しました。

この条件で証明書類として卒業証書を利用する場合、原本ではなくコピーで問題ありません。

どういった学科や過程が「化学に関する学科等」に該当するのかは以下のリンクからご確認ください。

一般財団法人 消防試験研究センター 受験資格 化学に関する学科又は課程

試験科目と合格基準

甲種危険物取扱者試験の試験科目および問題数は下表の通りです。

試験科目 問題数
危険物に関する法令15問
物理学及び化学10問
危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法20問

合格基準は3つの試験科目それぞれの正答率が60%以上であることです。1つでも正答率が60%未満の科目があると不合格となります。

つまり、合格するには「危険物に関する法令」で9問以上「物理学及び化学」で6問以上、「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」で12問以上を正答する必要があります。

試験時間は2時間30分と問題数に対して長めで、試験中に時間が足りなくなることはないと思います。

合格率と難易度

甲種危険物取扱者試験の令和1年から令和3年の合格率は大体40%前後です。

合格率だけ見ると乙種4類と同程度です。

しかし、甲種の場合は受験資格を満たして受験した者の中で、合格できたのが約4割だということなので決して侮って良い数字ではありません。

甲種危険物取扱者試験の申込方法

甲種危険物取扱者試験の受験申請方法には、書面申請またはインターネットによる電子申請の2通りがあります。

甲種の受験手数料は6600円(非課税)です。

甲種は電子申請に条件がある

甲種危険物取扱者試験を受験する方で電子申請できるのは、以下の3つの条件のどれかに該当している場合のみです。

  1. 乙種危険物取扱者免状の交付を受けている方で、(1) 第1類又は第6類、(2) 第2類又は第4類、(3) 第3類、(4) 第5類の4種類以上の交付を受けている場合。
  2. 3年以内に甲種危険物取扱者試験の受験申請をしており再受験する場合。
  3. 団体受付で電子申請する場合。

つまり、1. の条件に該当しない限り個人での初回受験の申請は、電子申請ではできないということです。

願書は全国共通

甲種の電子申請には条件があるため、多くの人は書面申請を利用することになると思います。

願書の配布場所は、消防本部(局)及び主な消防署と、一般財団法人 消防試験研究センターの支部です(県によっては異なる場合があります)。

願書は全国共通なので居住地で願書を入手し、他県で実施される試験の申込に利用することも可能です。

県外受験の申込について

筆者の場合は、受験したい時期に住んでいる県で甲種の試験を実施していなかったため県外受験をすることにしました。

最寄りの消防署で願書を入手し、受験地の消防試験研究センター支部がWebサイトに掲載している試験案内に従って受験申請を行いました。

近くに願書の配布場所がない場合は、願書を取り寄せられないか受験地の消防試験研究センター支部に問い合わせてみることをおすすめします。

勉強方法

試験勉強は気に入った参考書と問題集を1冊ずつ購入して、それの2冊を中心にして行うと良いと思います。

おすすめの参考書と問題集

おすすめの参考書と問題集は以下の2冊です。

  • 参考書:ユーキャンの甲種危険物取扱者 速習レッスン 第2版
  • 問題集:甲種 危険物取扱者試験 令和4年版

用意する教材はこの2冊のみで十分です。

「ユーキャンの甲種危険物取扱者 速習レッスン 第2版」は、表や図を多くつかって視覚的にわかりやすいように工夫された参考書です。

見やすいレイアウトになっており少ないストレスで読み進められるようになっています。

別冊資料集や予想模擬試験も付いており分量も十分です。

公論出版の「甲種危険物取扱者試験」の内容は、要点をまとめた「テキスト」と「過去問題」そして「正解と解説」で構成されています。

「過去問題」の収録数が多く「ユーキャンの甲種危険物取扱者 速習レッスン 第2版」 だけでは不十分な問題演習用におすすめです。

筆者が実際に使っていた参考書

筆者が使用した参考書は「わかりやすい!甲種危険物取扱者試験」でした。

この参考書も図や表が多く使われておりわかりやすい参考書です。

インターネット上の口コミを見るとこの参考書をおすすめしている方が多いですね。 実際に筆者はこの参考書で勉強して合格しています。

今回、この参考書をおすすめしていないのは内容に間違いが多いためです。

主な間違いは弘文社サイトの正誤表に載っているので学習に大きな支障はありません。

しかし、正誤表に載っていない細かい間違いも多く、見つけるごとにこの参考書を使っていて大丈夫なのか不安になっていました。

要点はしっかりまとまっており語呂合わせで覚えやすいように工夫もされているので、細かい間違いは気にせずに重要な項目をしっかり覚えていきたい方には向いていると思います。

勉強手順

勉強は以下の手順で行いました。

  1. まず参考書を1周する。
  2. 参考書の2周目でわからない部分を粗方なくす。
  3. 問題集で問題演習
  4. 本番の2日前に模擬問題を解く
  5. 前日は復習

まず参考書を1周する

試験範囲の全容を把握するために参考書を1周します。

このとき、理解できない部分や解けない問題があってもいいので、参考書を最初から最後まで読みます。

参考書の2周目でわからない部分を粗方なくす

参考書の2周目で要点を覚えて、参考書に載っている問題は解けるようにします。

参考書の内容を全て覚えるのが理想ですが、難しいので問題を解きながら本番で出やすい部分を覚えていきます。

問題集で問題演習

参考書の問題だけでは不十分な問題演習を問題集を使って行います。

わからない部分を潰しながら、出題される問題の形式に慣れていきます。

本番の2日前までに模擬問題を解く

本番の2日前までに模擬問題を本番とできるだけ同じ状況で解いておくことをおすすめします。

試験の状況をイメージできるようになり、落ち着いて試験に臨むことができるようになります。

前日は復習

試験本番の前日は、苦手な項目の復習や試験直前に読み返す部分を決めるのに使うと良いと思います。

焦らずにしっかりと最後の仕上げをしましょう。

合格に必要な勉強時間

筆者は勉強期間1ヶ月で受験しましたが、合格基準ぎりぎりでの合格でした(各試験科目の正答率は70%程度)。

1ヶ月だと正直きつい

1日あたり平均3時間程度の勉強時間を確保していましたが、時間が足りず問題集による問題演習を十分に行うことができませんでした。

勉強時間の合計は、30日×3時間で大体90時間くらいですね。

理系大卒、過去に危険物取扱者試験の受験経験なしでこんな状態です。

3つの試験科目のうち「物理学及び化学」は高校レベルの問題なので難しくないのですが、「危険物に関する法令」と「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」の暗記に時間を取られてしました。

記憶力に自信があったり予備知識があったりしない限り、勉強期間1ヶ月未満での合格は厳しいと思います。

2ヶ月程度がおすすめ

1ヶ月目で参考書を2周して仕上げ、2ヶ月目で問題集を用いて問題演習を行うのが理想的だと思います。

自分のペースで勉強するのが一番ですがダラダラと非効率な学習を続けるのも良くありません。

受験日を決めてから間に合うように2ヶ月程度の勉強期間を定め、1日当たり平均2~3時間程度の勉強時間を確保して勉強すると良いと思います。

受験票が届いたら

受験票が届いたら写真の貼り付けと氏名の記入を忘れずに行いましょう。

不備があると受験できません。

受験当日

試験会場には、受験票B又はHBの鉛筆消しゴムの他に特殊な機能のない腕時計を持って行くことを強くおすすめします。

会場によっては時計がなく、腕時計を用意していないと残り時間を確認できない場合があるためです。

時計がないと本当に困るので特別な理由がない限り持って行くようにしましょう。

合格発表

合格発表日に合格者の受験番号が受験地支部の掲示板に公示されるとともに、受験者全員に試験結果通知書が郵送されます。

また、合格発表日の正午以降に消防試験研究センターのホームぺージからも合格者の受験番号が確認できるようになります。

甲種危険物取扱者試験の試験結果通知書

免状交付申請

免状交付申請についてはこちらの記事で紹介しています。

さいごに

本記事の内容の要点をまとめは以下の通りです。

願書は全国共通で他県受験の申込にも利用できる。

他県受験する場合は試験案内をWebサイトから入手すると良い。

試験勉強は気に入った参考書と問題集を1冊ずつ購入して行うのが良い。

おすすめの参考書は「ユーキャンの甲種危険物取扱者 速習レッスン 第2版」、おすすめの問題集は公論出版の「甲種危険物取扱者試験」

勉強期間は2ヶ月程度あった方が良い。

本記事がこれから甲種危険物取扱者試験を受験する方の参考になれば幸いです。

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